JBF 2019 カタログ ・インタビュー ・ Niek van Slagmaat

Exclusive Interview
by Kris Enri and Mamoru Tanabe

1. 簡単な自己紹介をお願いします!

こんにちは!ニックと言います!LEGO®社でデザイナーと働いて3年半になります。ブースト、ヴォルトロン、チャイニーズフェスティバル、ニンジャゴー、最近ではHIDDEN SIDE(海外でリリースされたゲーム)などのデザインを担当しました。私自身、大きなプロジェクトに関わらせてもらう傾向が多いように感じています。 オランダ生まれですが、今はデンマークに住んで働いています。 私はファンのコミュニティから来ていて、デザインの学士号を持っています。趣味として絵を描くことも好きですね。

2. あなたの創造力を育むにあたり、影響を与えた物や人はありますか?

3歳くらいからLEGO®にハマり始めました。作ることはできなくても、カタログを眺めて楽しんでいました。小さい頃は漫画がとても好きでした。特にSFの様な漫画が好きだったのを覚えています。メダロットや、トレジャープラネットの様な映画がお気に入りでしたね。好きなものはすぐにレゴ®で作ったり絵を描いたりする対象になっていました。

3. これまでずっとロボやメカのファンだったんですか?もしそうなら、あなたの中のベスト3を教えてください

おっしゃる通り、ずっとロボやメカが好きでしたね。「アイアン・ジャイアント」を初めて見たのがきっかけだったことも覚えています。ヨーロッパのメディアではロボットが流れることは滅多にありませんでしたが、映画やテレビ番組にロボットが入っていたらそれが一番好きなものになっていました。そして少し大きくなると、メカを一つのジャンルとして捉える様になりました。

ロボットベスト3
1. グレンラガン
2. カンチ(FLCL)
3. チェルノアルファ(パシフィック・リム)

4. 幼い頃に持っていたLEGO®のセットは何でしたか?

LEGO® 6625(ハイパーパトロールカー)でした。誕生日プレゼントとしてもらったことを覚えています。

5. 今までいくつくらいの作品を作ってきましたか?

今までに既に発表されているものは4つ、そして来年発表される4つも完成しています。

6. 好きなレゴ®のセットのベスト3を教えていただけますか?理由もお願いします。

おもちゃのデザイナーとして答えさせてもらいますね。なので、一見完璧なものには見えないかもしれませんが、素晴らしい意欲を持って作られていて、様々な遊び方がある物たちです。

1. 7313 マーズ・プロテクター これが私が手にした最初のレゴ®のメカでして、つまり私にとってとても重要なものです。小さな飛行機に組み替えもできました。
2. 4940 グラニット・グラインダー  このセットの稼働する足はとてもシンプルな作りなのにとてもよくできているんです。大きなメカが歩いてる様です。そして、このドリルもいい!!
3. 76031 ハルクのバスタースマッシュ  マーベルの大ファンというわけでもないのですが、個人的にはこのハルクバスターはレゴ®製品の中で最もよくできていると思います。がっしりしていて、装飾もきちんとなされている。疑う余地のない傑作で、作るのも遊ぶのも楽しめます。

7. 将来的に作ってみたいものややってみたいプロジェクトはありますか?

メカに関するものならなんでもです。製品でもオリジナルでも。グレンラガンやマジンガーZのセットを作ってみたいですね。もしオリジナルを作るとすれば、エクソフォースの様なテーマで作ってみようと思います。様々なテーマのメカのデザインをためてありますから。

8. あなたをインスパイアするものはなんですか?

アクション物をはじめとして色々なアニメを見ます。個人的に参考にしているのはトリガー(アニメ制作会社)です。とても速いペースやストーリー展開の中で登場するキャラクターを構成する形の使い方やバランスなどはいつ見ても飽きないし、いつも私をインスパイアしていくれます。そのほかにも、ボードゲーム、ミニチュアゲーム、ビデオゲームなどもやります。私は何かアイデアが欲しい時、突飛なアイデアやデザイン、色の組み合わせなどを探して参考にしがちです。

9. 何かを作る上でぶつかる難しさを教えてください?

セットのデザインをする時、強度についてとてもうるさく言われるのが大変ですね。かっこいい見た目で作るというのは作業のほんの一部にすぎません。対象年齢の子供達が、あまりレゴ®を作ったことがなくても作れる様にしなくてはなりません。それを使って簡単に遊べる様にしなくてはならないし、時間が経っても形を保てなければいけません。当然売れるものでもないといけない。ほかにも山ほどあります。これらを満たさないといけない以上、モデルに対する美学や個人的な思いを妥協せざるを得ません。これは時に自分の大事にしているものを殺す結果になってしまうので、とても大変な仕事です。

10. どうやってレゴ®のデザイナーになりましたか?

これ、という一つの道はありません。一緒に働いているみんなは一人一人全く違う道を歩んできています。生物学者もいれば、動画制作の専門もいる。最も大事なことは、レゴ®でものを作ることを愛すること、そして次の時代へとつなぐ情熱だと思います。

一人のファンとして、LEGO®のシステムについてよく理解しているのはアドバンテージになります。自分のアイデアをプレゼンしたり、製品を開発する時にとても役に立つんです。

先述の通り、様々な制約の中で働くのはクリエイティブな人にとってはとても大変なことです。デザインに関して教育を受けることは、こうした妥協や、優先順位の異なるチームと一緒に働くということの準備になるでしょう。ここで働きたければ、はあなたもチームの一員として働かなくてはなりません。

11.今回が最初の訪日ですか?楽しみにしていることはなんですか?

そうです。日本に行くのは初めてです。長年行きたかったのですがなかなか叶わなかったので、とてもワクワクしています。最高の機会になると思います。これまで、私はヨーロッパや北米のファン達と交流してきました。このイベントで、アジアから来た様ざな国籍のファンと会って話をできるのではと思っています。何日か休暇を取れる様に調整したので、いくつかの都市を訪れて日本の自然や歴史、文化の広さを体験したいと思っています。おもちゃオタクなので、アクションフィギュアやモデルをお店で見れるのも楽しみです。

12. 頑張っているビルダーやデザイナーの皆さんに一言お願いします。

作り続けましょう!続けることが大事です。何かにおいて上達するためには、それを続けている中で障害にぶつかり、それを乗り越えることが大事です。もしチャレンジしてみたかったら、自分が普段作らない様なものを作ってみるのもいいですよ。ただし、楽しむことを忘れないでくださいね。他の人から学び、フィードバックをどう受け取ってどう活かすかを学びましょう。楽しみとしてつくるのなら、もらったフィードバックをどう解釈し、何が自分にとって大切か考えてみましょう。デザイナーになることに興味があれば、フィードバックを素直に受け止め、それを制限の中で作る練習だと思ってやってみましょう。プロとしての立場では、大量のフィードバックを受け取ることになるので、その中で優先順位をつける方法を知っておくことも大事です。

そして最も大事なことは、自分を信じること。進み続け、向上し続ければ、できないことなど存在しません!